第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和8年度(2026年)上期
問58 (機械 問15(b))

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問題

第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和8年度(2026年)上期 問58(機械 問15(b)) (訂正依頼・報告はこちら)

周波数が60Hzの電源で駆動されている4極の三相同期電動機(星形結線)があり、端子の相電圧Vは(400/√3)V、電機子電流IMは200A、力率1で運転している。1相の同期リアクタンスxs[Ω]は1.00Ωであり、電機子の巻線抵抗、及び機械損などの損失は無視できるものとして、次の問に答えよ。

上記の同期電動機の端子電圧及び出力を一定にしたまま界磁電流を増やしたところ、電機子電流がIM1[A]に変化し、力率cosθが√3/2(θ=30°)の進みとなった。出力が一定なので入力電力は変わらない。図はこのときの状態を説明するための1相の概略のベクトル図である。このときの1相の誘導起電力Eの値[V]として最も近いものを、次のうちから一つ選べ。
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この過去問の解説 (1件)

01

正しい選択肢は「400」です。

この問題は、三相同期電動機の力率が進みに変化したときの、1相当たりの誘導起電力を求める計算問題です。

同期電動機では、界磁電流を変えると、電機子電流の大きさや力率が変化します。

今回は、端子電圧と出力が一定なので、力率が変化しても有効電力は変わりません。

まず、変化後の電機子電流を求め、次にベクトル図を使って誘導起電力を計算します。

計算手順

<力率が変化した後の電機子電流を求める>

三相交流の有効電力Pは、次の式で求められます。

P=3VIcosθ

ここで、

・P:有効電力[W]

・V:相電圧=400/√3[V]

・I:相電流[A]

・cosθ:力率

です。

最初は電機子電流が200A、力率が1なので、

P=3×(400/√3)×200×1

となります。

力率が√3/2に変化した後も、有効電力と端子電圧は一定です。

したがって、

3×V×200×1=3×V×Iₘ₁×√3/2

となります。

両辺の3Vを消して整理すると、

200=Iₘ₁×√3/2

Iₘ₁=200×2/√3

=400/√3

≒230.9A

となります。

したがって、変化後の電機子電流は約230.9Aです。

<同期リアクタンスによる電圧を求める>

同期リアクタンスxₛは1.00Ωです。

リアクタンスによる電圧の大きさは、次の式で求められます。

xₛIₘ₁=1.00×400/√3

=400/√3

≒230.9V

となります。

この電圧は、電機子電流より90°進んだ向きになります。

<ベクトル図から誘導起電力を求める>

同期電動機では、電機子の巻線抵抗を無視すると、端子電圧と誘導起電力の関係は、

Ė=V̇-jxₛİₘ₁

となります。

ここで、jは電圧や電流の向きを90°回転させることを表す虚数単位です。

問題では、電機子電流が端子電圧より30°進んでいます。

そのため、jxₛIₘ₁の向きは端子電圧より、

30°+90°=120°

進んだ方向になります。

端子電圧を水平方向とすると、誘導起電力Eの水平成分Eₓと垂直成分Eᵧは、次のようになります。

<水平成分>

Eₓ=V+xₛIₘ₁sin30°

=400/√3+(400/√3)×1/2

=600/√3

=200√3V

<垂直成分>

Eᵧ=-xₛIₘ₁cos30°

=-(400/√3)×√3/2

=-200V

したがって、誘導起電力の大きさEは、三平方の定理から、

E=√(Eₓ²+Eᵧ²)

=√{(200√3)²+(-200)²}

=√(120000+40000)

=√160000

=400V

となります。

したがって、最も近い値は400Vです。

選択肢3. 400

正しい選択肢です。

出力が一定なので、力率の変化後の電機子電流は、

Iₘ₁=200/(√3/2)

=400/√3[A]

となります。

同期リアクタンスによる電圧は、

xₛIₘ₁=400/√3[V]

です。

端子電圧と電機子電流の位相差30°を考慮すると、

E=√{(200√3)²+200²}

=400V

となります。

まとめ

同期電動機の誘導起電力を求めるときは、有効電力が一定であることと、電圧・電流の位相関係に注意することが重要です。

今回の計算では、

・相電圧V:400/√3[V]

・変化前の電機子電流:200A

・変化後の力率:√3/2(30°進み)

・変化後の電機子電流Iₘ₁:約230.9A

・同期リアクタンスxₛ:1.00Ω

・誘導起電力E:400V

となります。

特に、次の2つの関係を覚えておきましょう。

P=3VIcosθ

Ė=V̇-jxₛİ

力率が進みになると、電機子電流は端子電圧より進んだ向きになります。

そのため、同期リアクタンスによる電圧の向きも考慮して、誘導起電力をベクトルとして求める必要があります。

また、同期電動機では、出力と端子電圧を一定にしたまま界磁電流を調整すると、電機子電流の大きさや力率を変えることができます。

今回のように界磁電流を増やして力率が進みになった状態を、過励磁運転といいます。

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