第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和8年度(2026年)上期
問36 (電力 問14)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和8年度(2026年)上期 問36(電力 問14) (訂正依頼・報告はこちら)

電気設備に使用される電気絶縁材料に関する記述として、誤っているものを次のうちから一つ選べ。
  • ガス遮断器などに使用されるSF6ガスは、大気圧よりも高い圧力で使用され、同じ圧力の空気と比較して絶縁破壊強度が高く、アーク放電が発生した際の消弧能力にも優れる。SF6ガスは、反応性が非常に小さく安定した不燃性のガスであるが、大気中に排出されると、地球温暖化への影響が大きいガスである。
  • 変圧器の絶縁油は、鉱油系絶縁油、合成絶縁油、植物性絶縁油の3種類があり、鉱油系絶縁油が主流である。絶縁油は、変圧器内部を絶縁する役割のほかに、変圧器内部で発生する熱を対流等によって放散冷却する役割があるため、粘度が高い方がよい。
  • CVケーブルに使用される架橋ポリエチレン絶縁体は、ポリエチレンの分子構造を架橋反応により立体網目状分子構造とした絶縁体であり、絶縁特性と耐熱変形性の双方に優れている。
  • OFケーブルに使用される油浸紙絶縁体は、多層に巻き上げた絶縁紙の積層体に絶縁油を含浸させた絶縁体であり、大気圧よりも高い油圧を加えることで絶縁破壊強度を高めている。
  • がいしに使用される絶縁体は、一般に磁器、ガラス、ポリマの3種類があり、我が国では磁器がいしが主流である。最近では、軽量性や耐衝撃性などの観点から、内側に高い機械強度と絶縁強度を有するガラス繊維強化プラスチック製のコア材を配置し、その外側にポリマ製の笠付き外被で覆ったポリマがいしの利用が進んでいる。

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (1件)

01

誤っている記述は「変圧器の絶縁油は、鉱油系絶縁油、合成絶縁油、植物性絶縁油の3種類があり、鉱油系絶縁油が主流である。絶縁油は、変圧器内部を絶縁する役割のほかに、変圧器内部で発生する熱を対流等によって放散冷却する役割があるため、粘度が高い方がよい。」です。

この問題は、電気設備に使用される絶縁材料の種類と、それぞれの特徴について問われています。

電気絶縁材料は、電気が本来流れてはいけない場所に流れることを防ぎ、感電や設備の故障を防止するために使用されます。

変圧器に使用される絶縁油には、電気を絶縁する役割だけでなく、内部で発生した熱を外部へ逃がす役割もあります。

そのため、絶縁油は粘度が低く、流れやすい方が冷却に適しています。

選択肢1. ガス遮断器などに使用されるSF6ガスは、大気圧よりも高い圧力で使用され、同じ圧力の空気と比較して絶縁破壊強度が高く、アーク放電が発生した際の消弧能力にも優れる。SF6ガスは、反応性が非常に小さく安定した不燃性のガスであるが、大気中に排出されると、地球温暖化への影響が大きいガスである。

適切な記述です。

SF₆ガス(六ふっ化硫黄ガス)は、電気を通しにくく、アーク放電を消す能力に優れたガスです。

絶縁破壊とは、本来電気を通さない物質に高い電圧が加わり、電気が流れてしまう現象です。

SF₆ガスは、同じ圧力の空気より絶縁破壊が起こりにくいため、ガス遮断器などに使用されます。

また、燃えにくく化学的にも安定していますが、温室効果が非常に大きいため、大気中への排出を防ぐことが重要です。

選択肢2. 変圧器の絶縁油は、鉱油系絶縁油、合成絶縁油、植物性絶縁油の3種類があり、鉱油系絶縁油が主流である。絶縁油は、変圧器内部を絶縁する役割のほかに、変圧器内部で発生する熱を対流等によって放散冷却する役割があるため、粘度が高い方がよい。

誤っている記述です。

変圧器の絶縁油は、電気を絶縁するだけでなく、内部で発生した熱を外部へ運ぶ役割もあります。

粘度とは、液体の流れにくさを表すものです。

粘度が高い油はドロドロして流れにくく、変圧器内部で熱を運ぶ働きが弱くなります。

一方、粘度が低い油はサラサラして流れやすく、対流によって熱を効率よく運ぶことができます。

したがって、絶縁油は粘度が高い方ではなく、低い方が冷却性能に優れています。

選択肢3. CVケーブルに使用される架橋ポリエチレン絶縁体は、ポリエチレンの分子構造を架橋反応により立体網目状分子構造とした絶縁体であり、絶縁特性と耐熱変形性の双方に優れている。

適切な記述です。

CVケーブルは、架橋ポリエチレンを絶縁材料として使用した電力ケーブルです。

架橋とは、ポリエチレンの分子同士を結び付け、立体的な網目状の構造にすることです。

これにより、通常のポリエチレンよりも熱によって変形しにくくなります。

また、電気を通しにくい性質も優れているため、高い絶縁性能と耐熱性を備えたケーブルとして使用されています。

選択肢4. OFケーブルに使用される油浸紙絶縁体は、多層に巻き上げた絶縁紙の積層体に絶縁油を含浸させた絶縁体であり、大気圧よりも高い油圧を加えることで絶縁破壊強度を高めている。

適切な記述です。

OFケーブルは、絶縁紙に絶縁油を染み込ませた油浸紙絶縁体を使用するケーブルです。

絶縁紙を何層にも巻き重ね、その中に絶縁油を十分に行き渡らせることで、電気を通しにくくしています。

さらに、絶縁油に高い圧力を加えることで、内部に気泡や空間ができることを防ぎ、絶縁破壊が起こりにくい状態にしています。

選択肢5. がいしに使用される絶縁体は、一般に磁器、ガラス、ポリマの3種類があり、我が国では磁器がいしが主流である。最近では、軽量性や耐衝撃性などの観点から、内側に高い機械強度と絶縁強度を有するガラス繊維強化プラスチック製のコア材を配置し、その外側にポリマ製の笠付き外被で覆ったポリマがいしの利用が進んでいる。

適切な記述です。

がいしは、送電線などを支えながら、電気が鉄塔や電柱などに流れることを防ぐための部品です。

一般に、磁器、ガラス、ポリマなどの絶縁材料が使用されています。

ポリマがいしは、内部に強度の高いガラス繊維強化プラスチック製の芯を使用し、外側を絶縁性の高い樹脂などで覆ったものです。

従来の磁器がいしと比較して、軽量で衝撃に強いという特徴があります。

そのため、送電設備などで利用されています。

まとめ

電気設備では、使用する場所や目的に応じて、さまざまな絶縁材料が使われています。

・SF₆ガス:絶縁性能と消弧能力に優れますが、地球温暖化への影響が大きいガスです。

・変圧器の絶縁油:絶縁と冷却の役割があり、冷却性能の面では粘度が低い方が適しています。

・架橋ポリエチレン絶縁体:CVケーブルに使用され、絶縁性能と耐熱変形性に優れています。

・油浸紙絶縁体:OFケーブルに使用され、絶縁油に圧力を加えることで高い絶縁性能を保ちます。

・ポリマがいし:軽量で衝撃に強く、ガラス繊維強化プラスチック製の芯とポリマ製の外被などで構成されています。

特に、「絶縁油の粘度が低い→油が流れやすい→熱を運びやすい→冷却性能が高まる」という関係を覚えておきましょう。

参考になった数0