第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和8年度(2026年)上期
問32 (電力 問10)
問題文
地中送電線路の電力ケーブルで発生する損失に関する記述として、誤っているものを次のうちから一つ選べ。
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問題
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第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和8年度(2026年)上期 問32(電力 問10) (訂正依頼・報告はこちら)
地中送電線路の電力ケーブルで発生する損失に関する記述として、誤っているものを次のうちから一つ選べ。
- 電力ケーブルの抵抗損は、導体自身を流れる交流電流によって生じる交番磁界の影響で、導体を流れる電流密度分布に偏りが発生するという表皮効果によって大きくなる。導体の断面積が大きいほど表皮効果の影響が大きいため、分割導体や素線絶縁導体を採用することで抵抗損を低減することができる。
- 電力ケーブルの抵抗損は、近接して配置されるケーブル導体を流れる交流電流によって生じる交番磁界の影響で、導体を流れる電流密度分布に偏りが発生するという近接効果によって大きくなる。電力ケーブルの相間距離が短いほど近接効果の影響が大きいため、電力ケーブルの相間距離を離すことで抵抗損を低減することができる。
- 電力ケーブルの誘電損は、印加される交流電圧と同位相の電流成分が絶縁体にわずかに流れることで生じる。この誘電損は、絶縁体の誘電率及び誘電正接に比例し、印加電圧の2乗に比例するため、印加電圧が同じ場合には誘電率及び誘電正接の小さい絶縁体を使用することで誘電損を低減することができる。
- 電力ケーブルのシース回路損は、導体を流れる交流電流によって生じる交番磁界の影響で、金属シースの長手方向に電流が誘導されることで生じる。クロスボンド接地方式の採用によって、3相の各電力ケーブルの金属シースに流れる誘導電流どうしが打ち消し合う効果が得られるため、シース回路損を低減することができる。
- 電力ケーブルの渦電流損は、導体を流れる交流電流によって生じる交番磁界の影響で、金属シース内に渦電流が誘導されることで生じる。厚さの薄い金属シースの採用によって交番磁界の影響を小さくすることや、導電率の高い金属シースの採用によって渦電流による発熱を小さくすることで、渦電流損を低減することができる。
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この過去問の解説 (1件)
01
誤っている記述は「電力ケーブルの渦電流損は、導体を流れる交流電流によって生じる交番磁界の影響で、金属シース内に渦電流が誘導されることで生じる。厚さの薄い金属シースの採用によって交番磁界の影響を小さくすることや、導電率の高い金属シースの採用によって渦電流による発熱を小さくすることで、渦電流損を低減することができる。」です。
この問題は、地中送電線路の電力ケーブルで発生する損失の種類と、それぞれの低減方法について問われています。
電力ケーブルには、抵抗損、誘電損、シース回路損、渦電流損などがあります。
このうち、渦電流損は金属シースの導電率が高いほど大きくなるため、導電率の低い材料を使用することで低減できます。
適切な記述です。
表皮効果とは、交流電流が導体の中心よりも表面付近に集中して流れる現象です。
導体が太いほどこの影響が大きくなり、電流が流れる部分が偏ることで抵抗損が増加します。
そのため、導体を細かく分割した分割導体や、素線同士を絶縁した素線絶縁導体を使用することで、表皮効果を抑えて抵抗損を低減できます。
適切な記述です。
近接効果とは、近くにある別の導体の磁界によって、導体内部の電流の流れ方に偏りが生じる現象です。
電線同士の距離が近いほど影響が大きくなり、抵抗損が増加します。
そのため、電力ケーブルの相間距離を離すことで近接効果を弱め、抵抗損を低減できます。
適切な記述です。
誘電損とは、交流電圧が加わったときに、ケーブルの絶縁体で発生する電力損失です。
誘電損は、絶縁体の誘電率、誘電正接、電圧の2乗に比例します。
そのため、電圧が同じ場合には、誘電率と誘電正接の小さい絶縁材料を使用することで、誘電損を低減できます。
適切な記述です。
金属シースとは、電力ケーブルの絶縁体を覆う金属製の保護層です。
交流電流によって発生する磁界の影響で、金属シースにも電流が流れ、シース回路損が発生します。
クロスボンド接地方式では、金属シースの接続を区間ごとに入れ替え、各相で誘導される電圧を打ち消し合わせます。
これにより、金属シースを長手方向に流れる電流が小さくなり、シース回路損を低減できます。
誤っている記述です。
渦電流損とは、交流電流によって発生する磁界の影響で、金属シースの内部に渦を巻くような電流が流れ、熱が発生することによる損失です。
金属シースを薄くすると、渦電流が流れにくくなり、損失を低減できます。
しかし、導電率が高い金属は電流が流れやすいため、渦電流が大きくなり、発熱も増加します。
したがって、渦電流損を低減するには、導電率の低い金属シースを使用することが有効です。
地中送電線路の電力ケーブルでは、損失の種類によって低減方法が異なります。
・表皮効果による抵抗損:分割導体や素線絶縁導体を使用することで低減できます。
・近接効果による抵抗損:ケーブルの相間距離を離すことで低減できます。
・誘電損:誘電率と誘電正接の小さい絶縁材料を使用することで低減できます。
・シース回路損:クロスボンド接地方式によって、誘導電流を抑えることで低減できます。
・渦電流損:金属シースを薄くしたり、導電率の低い材料を使用したりすることで低減できます。
特に、導体の抵抗損は導電率が高いほど小さくなりますが、金属シースの渦電流損は導電率が高いほど大きくなるという違いを覚えておきましょう。
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