第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和8年度(2026年)上期
問23 (電力 問1)

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問題

第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和8年度(2026年)上期 問23(電力 問1) (訂正依頼・報告はこちら)

水力発電所に用いられるダムの種別と特徴に関する記述として、最も不適切なものを次のうちから一つ選べ。
  • 重力ダムとは、コンクリートの重力によって水圧などの外力に耐えられるようにしたダムであって、体積は大きくなるが、構造が簡単で安定性が良い。我が国では、最も多く用いられている。
  • アーチダムとは、水圧などの外力を両岸の岩盤で支えるようにアーチ型にしたダムであって、両岸の幅が広く、岩盤が丈夫なところに作られ、コンクリートの量を節減できる。
  • ロックフィルダムとは、岩石を積み上げて作るダムであって、内側には、砂利、アスファルト、粘土などが用いられている。ダムは大きくなるが、資材の運搬が困難で建設地付近に岩石や砂利が多い場所に適している。
  • アースダムとは、土壌を主材料としたダムであって、灌漑(かんがい)用の池などを作るのに適している。軟弱な地盤でも作れるという利点がある。ダムの高さは50mを超えるものもある。
  • 取水ダムとは、水路式発電所の水路に水を導入するため河川に設けられるダムであって、ダムの高さは低く、越流形コンクリートダムなどが用いられている。

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この過去問の解説 (2件)

01

アーチダムは「谷の幅が狭く(V字谷)、岩盤がとても頑丈な場所」に作られる、と覚えておくと引っかからずに解けます。

選択肢1. 重力ダムとは、コンクリートの重力によって水圧などの外力に耐えられるようにしたダムであって、体積は大きくなるが、構造が簡単で安定性が良い。我が国では、最も多く用いられている。

重力ダム(重力式コンクリートダム)は、ダム自体のドッシリとした「重さ」で上流からの巨大な水圧を支える構造です。 コンクリートを大量に使うため体積は大きくなりますが、構造がシンプルで頑丈、かつ地盤への要求条件もアーチダムほど厳しくないため、日本で最も多く作られているスタンダードなダムです。したがって、この記述は正しいです。

選択肢2. アーチダムとは、水圧などの外力を両岸の岩盤で支えるようにアーチ型にしたダムであって、両岸の幅が広く、岩盤が丈夫なところに作られ、コンクリートの量を節減できる。

アーチダムは、上流側に向けた緩やかな弓形(アーチ状)のカーブによって、受けた水圧を両側の岩盤(山)へと逃がす仕組みになっています。そのため、コンクリートの量を劇的に減らすことができる非常にスマートなダムです。

ただし、水圧を受け止めるためには「両岸の岩盤が非常に強固であること」に加えて、「谷の幅が狭いこと(V字谷であること)」が絶対条件となります。 記述にある「両岸の幅が広く」という部分が間違いで、幅が広い場所ではアーチで水圧を支えきれなくなってしまいます。そのため、この選択肢が最も不適切(正解)となります。

選択肢3. ロックフィルダムとは、岩石を積み上げて作るダムであって、内側には、砂利、アスファルト、粘土などが用いられている。ダムは大きくなるが、資材の運搬が困難で建設地付近に岩石や砂利が多い場所に適している。

ロックフィルダムは、現地やその周辺で調達した岩石や砂利を積み上げて作るダムです。水漏れを防ぐ遮水壁(コア)として、粘土やアスファルトなどが使われます。 現地にある材料を活用できるため「資材の運搬が難しい地域」や「建設地付近に岩石や砂利が豊富にある場所」にとても適しています。したがって、この記述は正しいです。

選択肢4. アースダムとは、土壌を主材料としたダムであって、灌漑(かんがい)用の池などを作るのに適している。軟弱な地盤でも作れるという利点がある。ダムの高さは50mを超えるものもある。

アースダム(土留めダム)は、主に土を突き固めて作るダムで、古くからため池(灌漑用)などに広く利用されてきました。 底面積が広く荷重が分散されるため、コンクリートダムを建てられないような「比較的軟弱な地盤」でも建設できる利点があります。日本でも高さ50mを超える大規模なアースダムが存在します。したがって、この記述は正しいです。

選択肢5. 取水ダムとは、水路式発電所の水路に水を導入するため河川に設けられるダムであって、ダムの高さは低く、越流形コンクリートダムなどが用いられている。

水路式発電では、大きな貯水池を作るのではなく、川の流れから直接水を取り込んで発電所に送ります。その取り口(取水口)の立ち上げ用に作られるのが取水ダム(取水堰)です。 目的は「水を貯めること」ではなく「水位を上げて水路へ引き込むこと」なので、ダム自体の高さは低く、増水時には上から水が溢れ出る「越流形構造」などがよく使われます。したがって、この記述も正しいです。

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02

最も不適切な記述は「アーチダムとは、水圧などの外力を両岸の岩盤で支えるようにアーチ型にしたダムであって、両岸の幅が広く、岩盤が丈夫なところに作られ、コンクリートの量を節減できる。」です。

この問題は、水力発電所で使用されるダムの種類と、それぞれの構造や特徴について問われています。

アーチダムは、水圧を両岸の岩盤で支える構造のため、谷幅が狭く、両岸の岩盤が丈夫な場所に適しています。

そのため、「両岸の幅が広く」という部分が誤っています。

選択肢1. 重力ダムとは、コンクリートの重力によって水圧などの外力に耐えられるようにしたダムであって、体積は大きくなるが、構造が簡単で安定性が良い。我が国では、最も多く用いられている。

適切な記述です。

重力ダムは、ダム自体の重さで水圧に耐える構造です。

大量のコンクリートが必要ですが、構造が簡単で安定性が高く、日本で最も多く用いられている形式です。

選択肢2. アーチダムとは、水圧などの外力を両岸の岩盤で支えるようにアーチ型にしたダムであって、両岸の幅が広く、岩盤が丈夫なところに作られ、コンクリートの量を節減できる。

不適切な記述です。

アーチダムは、弓のように曲がった形を利用して、水圧を両岸の岩盤に伝える構造です。

そのため、谷幅が狭く、両岸の岩盤が丈夫な場所に適しています。

重力ダムよりコンクリートの使用量を減らせますが、両岸の幅が広い場所には一般に適していません。

選択肢3. ロックフィルダムとは、岩石を積み上げて作るダムであって、内側には、砂利、アスファルト、粘土などが用いられている。ダムは大きくなるが、資材の運搬が困難で建設地付近に岩石や砂利が多い場所に適している。

適切な記述です。

ロックフィルダムは、岩石を主な材料として積み上げて造るダムです。

内部や上流側には、粘土やアスファルトなどを使って水が漏れないようにします。

大量の材料が必要なため、建設場所の近くで岩石や砂利を確保できる場所に適しています。

選択肢4. アースダムとは、土壌を主材料としたダムであって、灌漑(かんがい)用の池などを作るのに適している。軟弱な地盤でも作れるという利点がある。ダムの高さは50mを超えるものもある。

適切な記述です。

アースダムは、土を主な材料として盛り上げて造るダムです。

農業用のため池などによく用いられ、地盤への負担が比較的小さいため、軟弱な地盤でも建設しやすい特徴があります。

一般的には高さの低いダムが多いですが、高さ50mを超えるアースダムも存在します。

例えば、熊本県の清願寺ダムは、高さ60.5mのアースダムです。

選択肢5. 取水ダムとは、水路式発電所の水路に水を導入するため河川に設けられるダムであって、ダムの高さは低く、越流形コンクリートダムなどが用いられている。

適切な記述です。

取水ダムは、河川の水を発電用の水路に取り入れるためのダムです。

大量の水を貯めることよりも、水を必要な高さまでせき上げて取水することが目的です。

そのため、高さが低いものが多く、水がダムの上を越えて流れる越流形コンクリートダムなどが用いられます。

まとめ

水力発電に用いられるダムは、材料や水圧を支える仕組みによって種類が分かれます。

・重力ダム:コンクリートの重さで水圧を支えるダムです。

・アーチダム:両岸の岩盤で水圧を支え、谷幅が狭く岩盤が丈夫な場所に適しています。

・ロックフィルダム:岩石を主な材料として造るダムです。

・アースダム:土を主な材料として造り、農業用のため池などに利用されます。

・取水ダム:河川から発電用水路へ水を取り入れるためのダムです。

特に、アーチダムは「谷幅が狭い場所」に適していることが重要です。

重力ダムが自分自身の重さで水圧を支えるのに対し、アーチダムは両岸の岩盤に水圧を伝えて支えるという違いを覚えておきましょう。

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