第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和8年度(2026年)上期
問22 (理論 問18(b))

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問題

第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和8年度(2026年)上期 問22(理論 問18(b)) (訂正依頼・報告はこちら)

小信号増幅回路の交流等価回路は、結合コンデンサ及びバイパスコンデンサのインピーダンスを無視することができる周波数において、一般に、図2の簡易等価回路で表される。
ここで、ib[A]はベースの信号電流、ic[A]はコレクタの信号電流で、この回路の電圧増幅度Av0は下式となる。

Av0=|vo/vi|=(hfe/hie)・(RCRo/(RC+Ro))……①

また、コンデンサC1のインピーダンスの影響を考慮するための等価回路は、RA、RB≫hieと考えられるとき、図3である。
このとき、入力小信号電圧のある周波数において、図3を用いて得られた電圧増幅度が①式で示す電圧増幅度の1/√2となった。この周波数[Hz]の大きさとして、最も近いものを次のうちから一つ選べ。
ただし、エミッタ接地の小信号電流増幅率hfe=120、入力インピーダンスhie=3✕103Ω、コンデンサC1の静電容量C1=10μFとする。
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この過去問の解説 (2件)

01

正しい選択肢は「5.3」です。

この問題は、結合コンデンサC₁の影響によって、トランジスタ増幅回路の電圧増幅度が小さくなる周波数を求める計算問題です。

電圧増幅度が本来の値の1/√2倍(約70.7%)になる周波数を、遮断周波数(カットオフ周波数)といいます。

この周波数では、コンデンサの容量性リアクタンスと、入力インピーダンスhᵢₑの大きさが等しくなることを利用して計算します。

計算手順

<コンデンサの容量性リアクタンスを考える>

コンデンサは、交流電流の流れを妨げる性質を持っています。この働きを容量性リアクタンスといいます。

容量性リアクタンスXcは、次の式で求められます。

Xc=12πfC₁

ここで、

・f:周波数[Hz]

・C₁:静電容量[F]

です。

<遮断周波数の公式を求める>

問題では、抵抗RA、RBが入力インピーダンスhᵢₑより十分に大きいため、これらの抵抗の影響を無視できます。

そのため、入力側はコンデンサC₁と入力インピーダンスhᵢₑが直列に接続された回路として考えます。

この回路では、電圧増幅度が本来の12倍になるとき、

Xc=hᵢₑ

という関係が成り立ちます。

したがって、

12πfC₁=hᵢₑ

となります。

これをfについて整理すると、

f=12πC₁hᵢₑ

となります。

<数値を代入する>

問題で与えられた値は、

・入力インピーダンスhᵢₑ=3×10³Ω=3000Ω

・静電容量C₁=10μF=10×10⁻⁶F

です。

公式に代入すると、

f=12π×10×10⁻⁶×3000

=12π×0.03

=1/0.1885

≒5.305Hz

したがって、最も近い値は5.3Hzです。

選択肢2. 5.3

正しい選択肢です。

遮断周波数の公式に数値を代入すると、

f=12π×3000×10×10⁻⁶

≒5.3Hz

となります。

この周波数では、容量性リアクタンスと入力インピーダンスhᵢₑが等しくなり、電圧増幅度は本来の12倍になります。

まとめ

この問題では、電圧増幅度が本来の12倍になる周波数を求めることが重要です。

・この周波数を遮断周波数(カットオフ周波数)といいます。

・遮断周波数では、容量性リアクタンスXcと入力インピーダンスhᵢₑが等しくなります。

・遮断周波数は、f=12πC₁hᵢₑで求められます。

・今回の計算結果は、約5.3Hzです。

なお、問題で与えられた電流増幅率hfe=120は、電圧増幅度そのものを求める際には使用しますが、今回の遮断周波数の計算には必要ありません。

特に、静電容量をμFからFに変換することと、周波数が低くなるほどコンデンサの容量性リアクタンスが大きくなることを覚えておきましょう。

参考になった数0

02

求めたい「周波数 f [Hz]」は、結合コンデンサ C1 の影響によって増幅度が元の 1 / √2 倍(約70.7%)に落ち込むときのカットオフ周波数です。

低域のカットオフ周波数は、次のシンプルな公式で計算できます。 f = 1 / (2 × π × C1 × hie)

(π は円周率、C1 はコンデンサの静電容量、hie は入力インピーダンスです)

ステップ1:回路をシンプルな形に整理する

問題文に「RA, RB >> hie(バイアス抵抗 RA, RB が hie に比べて十分大きい)」とあるため、RA と RB は無視(開放状態)して考えることができます。

また、エミッタ接地の電流増幅率 hfe = 120 という条件もありますが、これはコレクタ側の計算に使う数値のため、今回の入力側の計算では使いません(引っ掛け要素です)。

したがって、入力側の交流回路は「コンデンサ C1」と「ベースの入力インピーダンス hie」が直列につながっただけの非常にシンプルな回路として扱えます。

選択肢2. 5.3

増幅度が元の 1 / √2 倍に低下するのは、「コンデンサ C1 の抵抗っぽさ(リアクタンス)」と「抵抗 hie の大きさ」が等しくなるときです。

コンデンサのリアクタンス = 1 / (2 × π × f × C1) これが hie と等しくなるので、以下の式が成り立ちます。

1 / (2 × π × f × C1) = hie

この式を周波数 f について解き明かすと、全体の方針で示したカットオフ周波数の公式が得られます。

f = 1 / (2 × π × C1 × hie)

ステップ3:数値を代入して計算する

与えられた数値を公式に代入します。 ・hie = 3 × 10^3 Ω = 3000 Ω ・C1 = 10 μF = 10 × 10^-6 F = 0.00001 F

f = 1 / (2 × π × 0.00001 × 3000)

まず分母の数値部分(0.00001 × 3000)を計算します。 0.00001 × 3000 = 0.03

これを式に戻すと: f = 1 / (2 × π × 0.03) f = 1 / (0.06 × π) f = 100 / (6 × π) [Hz]

ステップ4:f を計算する

円周率 π ≒ 3.1416 を代入して割り算を行います。

f = 100 / (6 × 3.1416) f = 100 / 18.8496 ≒ 5.305 [Hz]

計算結果は約 5.3 Hz となるため、最も近い選択肢は5.3になります。

参考になった数0