第三種電気主任技術者(電験三種) 過去問
令和8年度(2026年)上期
問50 (機械 問8)

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問題

第三種電気主任技術者(電験三種)試験 令和8年度(2026年)上期 問50(機械 問8) (訂正依頼・報告はこちら)

電力用大形変圧器の温度上昇試験の一つに返還負荷法がある。この試験法では、外部電源から鉄損と銅損に相当する電力のみを供給すればよいので試験電源が比較的小規模なものですむ。単相変圧器におけるこの試験の結線方法及び図中に示す鉄損、銅損の供給方法として、次のうちから正しいものを一つ選べ。ただし、T1、T2は試験対象となる同じ仕様の変圧器、T3は補助変圧器であり、鉄損を供給する電源Eの電圧は定格電圧とする。
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この過去問の解説 (1件)

01

正しい選択肢は、T₁とT₂の一次側を並列に接続し、二次側を誘導起電力が打ち消し合う向きに直列接続した図です。

この問題は、変圧器の温度上昇試験に用いられる返還負荷法の結線方法について問われています。

返還負荷法は、同じ仕様の変圧器を2台使用し、少ない電力で実際の負荷運転に近い状態を作る試験方法です。

変圧器の主な損失には、次の2つがあります。

・鉄損:鉄心の中で磁束が変化することによって発生する損失です。

・銅損:巻線に電流が流れることによって発生する損失です。

返還負荷法では、電源Eから鉄損に相当する電力を供給し、補助変圧器T₃から銅損に相当する電力を供給します。

返還負荷法の仕組み

<鉄損を発生させる方法>

変圧器の鉄損は、主に加える電圧によって決まります。

そのため、2台の変圧器T₁とT₂の一次巻線を並列に接続し、それぞれに定格電圧を加えます。

これによって、2台とも通常の運転に近い鉄損を発生させることができます。

<銅損を発生させる方法>

銅損は、巻線に電流が流れることで発生します。

返還負荷法では、2台の変圧器の二次巻線を誘導起電力が打ち消し合う向きに直列接続し、閉回路を作ります。

さらに、補助変圧器T₃から小さな電圧を加え、閉回路に定格電流を循環させます。

このとき、2台の二次巻線に発生する電圧は互いに打ち消し合うため、補助変圧器T₃は主に巻線の抵抗などによる電圧降下を補えばよいことになります。

選択肢1. 解答選択肢の画像

誤りです。

一次側が並列になっているため、電源Eから両方の変圧器に定格電圧を加えることはできます。

しかし、二次側も並列に接続されているため、二次巻線の誘導起電力を打ち消し合う直列回路ができていません。

返還負荷法では、二次側に電流を循環させる閉回路を作る必要があります。

選択肢2. 解答選択肢の画像

誤りです。

一次側が直列に接続されているため、電源Eの電圧が2台の変圧器に分かれて加わります。

問題では、電源Eの電圧が定格電圧と指定されています。

同じ仕様の変圧器を直列に接続すると、各変圧器に加わる電圧は定格電圧の約半分となるため、定格電圧に対応する鉄損を発生させることができません。

また、二次側の結線も返還負荷法に適していません。

選択肢3. 解答選択肢の画像

誤りです。

一次側が直列になっているため、2台の変圧器に定格電圧を加えることができません。

さらに、二次側では誘導起電力が加わる向きに接続されています。

返還負荷法では、二次巻線の誘導起電力を打ち消し合う向きに接続する必要があります。

選択肢4. 解答選択肢の画像

正しい選択肢です。

一次側は並列接続なので、電源Eから2台の変圧器に定格電圧を加えることができます。

また、二次側は黒点のない端子同士を接続しているため、2台の誘導起電力が打ち消し合う向きになります。

その結果、補助変圧器T₃から電流を循環させることができ、鉄損と銅損を同時に発生させる返還負荷法の条件を満たします。

選択肢5. 解答選択肢の画像

誤りです。

一次側の並列接続は正しいですが、二次側の接続方向が異なります。

この図では、二次巻線の黒点のある端子と黒点のない端子が接続されているため、2台の誘導起電力が打ち消し合わず、加わる向きになっています。

その結果、大きな循環電流が流れるおそれがあり、返還負荷法に適した結線ではありません。

まとめ

返還負荷法は、同じ仕様の変圧器2台を使い、鉄損と銅損を同時に発生させて温度上昇を調べる試験方法です。

重要なポイントは、次のとおりです。

・一次側は並列接続:電源Eから各変圧器に定格電圧を加え、鉄損を発生させます。

・二次側は逆極性の直列接続:2台の誘導起電力が打ち消し合うように接続します。

・補助変圧器T₃:二次側の閉回路に電流を循環させ、銅損を発生させます。

・必要な外部電力:主に鉄損と銅損に相当する電力だけなので、大容量の試験電源を必要としません。

特に、「一次側は並列」「二次側は起電力が打ち消し合う直列接続」という組合せを覚えておきましょう。

なお、結線図にある黒点は、巻線の電圧の極性を示す記号です。返還負荷法の問題では、黒点の位置を確認し、2台の起電力が打ち消し合う接続になっているかを判断することが重要です。

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